リアル脱出ゲームに参加してきた記録

 脱出ゲームとは、密室に閉じこめられたプレイヤーキャラクタを操作して、密室から脱出するゲーム、およびそれに類するゲームのこと。Web上では、Flashなどで作られた脱出ゲームがたくさんある。僕の知り合いにも作っている人がいたり……。

 で、今回の本題であるリアル脱出ゲームというのは、上記のような密室からの脱出を目的としたゲームをコンピュータ上ではなく、現実でやろうというもの。公式サイトへのリンクを提示しておきます。

リアル脱出ゲーム OFFICIAL WEB SITE

 今回、僕は友人たちと4人で今月始めに行われた『東京リアル脱出ゲーム 廃倉庫からの脱出』に参加してきた。三連休の初日、9日の13:30開始の公演だ。なかなか楽しめたので、思い出して楽しむことを兼ねて、ここに記録しておく。

そもそも参加しようと思った動機

 とても安易な動機なのだが、「開催地が近かった」から。家から電車でそんなにかからないし、職場からだと歩いていける距離だった。値段も高くない。休日ならば参加できる。じゃあ参加しよう、それくらいの意気込み。

誘ったメンバ

 一人で参加しても楽しいのだろうが、一人誘いたい知人がいたので、彼との共通の友人でなおかつ開催地が遠くない人に声をかけた(ちなみに誘いたかった知人には声をかけたが、別件と予定が重なってしまい、来れなかった)。また、地方から一人東京に遊びにくる人がいたので、その人にも声をかけた。総勢4人。

部屋は2つ、身体は1つ

 当日、我々4人は開始ギリギリの時間に目的地に辿りついた。到着後、すぐにゲームが始まった。メンバは散り散りになり、各々が指定されたテーブルで、同じテーブルの仲間と脱出を試みることになった(実際には同じテーブルに一人、一緒に参加した友人がいた)。

 参加者はテーブルごとにチームを組むが、その他に部屋そのものが2つ存在していた。2つの部屋を相互に行き来することはできない。にもかかわらず、2つの部屋にある情報を集めなければ謎を解くことはできないようになっていた。

 自分がいない部屋の情報は、その部屋にいる見知らぬ仲間から貰うことになる。情報伝達の方法は、ただ一つ。文通だ。

謎は難しくなく、脱出は容易でなく

 同じテーブルの仲間たちと、自分のいる部屋の情報を集め、もう一つの部屋にいる仲間たちと文通で情報を交換する(おや……、手紙にどこかで見たような文字が……)。

 与えられた謎は難しいものではなかった。両方の部屋からきちんと情報を収集できれば、解くのは比較的容易だったように思う。難しいのは必要な情報を不足なく集めることだ。ある謎を解くことで得られる情報、もう一つの部屋から得られる情報。集めた情報の中で、今解きたい謎に必要な情報はどれなのか取捨選択することも難しかった。

 そして、難易度が高いわけではない謎を解くための最大の障害、それは時間だった。55分という限られた時間のなかで、謎を全て解くのは容易ではなかった。普通の環境であれば容易だったと思うが、密室であったことや文通でしか情報をやりとりできない仲間がいたことが、謎を解くことを難しいものとし、その結果として脱出を難しいものとしていた。

 自分のいたテーブルは、55分の間に一つの謎を残して全ての謎を解いた(解けなかったのは、jの問題だ)。後で知ったことだが、もう一つの部屋にいた仲間は全ての謎を解けていた。

(ちなみに、謎と答えは公式サイトで提示されている。http://realdgame.jp/feature/index.php/answer)

部屋は2つではなかった

 55分が経過した。一つだけ解けなかった謎があり、自分は内心「間に合わなかった……」とかなり落ちこんでいた(この手のゲームには相当の自信があったのだ)。

 しかし、55分の経過を告げた主催者側は、「次の部屋」への移動を命じた。

 次の部屋で何が行われるのかも知らず、言われるままに移動した我々は、先程まで別の部屋にいて、文通で協力しあっていた仲間たちと合流した(そこには一緒に参加した友人が一人いた)。

 合流した我々に、10分の時間が与えられた。どうやらまだ説くべき謎が残っており、それを10分以内に解けば脱出できるようだ。

 ちなみに、解答が公開されて知ったことだが、この部屋で解くことになる謎は3パターン存在する(解答ページのC部屋の問題)。我々が直面した謎はバージョン3のものだった。

 手持ちの情報で未使用のものが一つあったので、それを使う。前の部屋にいた時点でこの情報の使い方はわかっていた。その情報と、今いる新しい部屋にある情報を組みあわせて、我々は最後の謎に辿りついた。

「最後の扉に数字が隠されている。その数字を紙に書き封筒に入れて提出せよ」

最後の謎は最後の扉に

「最後の扉」とは何か。その部屋に存在する全ての扉を調べたが、有効な情報はなかった。他のチームも同様の行動をとっていることから、多くのチームが最後の謎に辿りついていたことがわかる。

 結果からいうと、最後の謎を解くには、既に使用した情報を使う必要があった。終了直前に、最後の扉がどこにあるのか閃いたが、残念ながら確認に時間がかかるため、確認していては間にあわない状況だった。

 結局、一緒に参加した友人の「協賛を参考にしよう」という意見から辿りついた解答を提出した。チームの仲間たちもその解答を提出することに納得していたし、自分も今までに解いた謎を参考に推測した解答が同じであったため、その意見に賛同した。提出した解答は正しく与えられた情報を元に得たものではないと皆がわかっていたものの、チームの全員が納得した上で提出したものだ。

用意された箱庭の外から与えられた勝利

 自分のいたチームの提出した解答は、正解だった。我々は、1/9 13:30開始の公演において、唯一脱出に成功したチームとなった。

 脱出成功チームの発表時に、主催側より最後の謎の解答が提示された。我々が辿りついたのとは違う、用意された箱庭の中にあった情報から解答に辿りつくルート。

 個人的には、箱庭の外にある「協賛」という情報を用いず、箱庭の中の情報だけで脱出したかったものの、それでも脱出できたという喜びは心地良いものだった(自分たちのチームだけが脱出できたということが、喜びを増幅させていたことは間違いない)。

リアル脱出ゲームは面白かったか

 脱出後、僕は一緒に参加した友人たちとともに今回参加したゲームについて語りあった。4人とも、脱出ゲームの制作経験はないものの、ゲームの制作にかかわったことのある人間だったため、制作側の視点での意見も多くでた。

 このゲームは良く作られている。ゲームバランスもよく調整されていた。きっと、初めて参加した人たちにとっては面白いゲームだっただろう。その一方で、過去にもリアル脱出ゲームに参加したことがあった人たちは、そうは思ってはいないかもしれない(これはゲーム作成側にとっては難しいところだろう)。

 個人的には面白かったと思うし、次の機会にも参加したいと思っている。しかし、一度でも過去のリアル脱出ゲームに参加したことがある者が楽しめるのかどうか。新規参加者にも面白く、常連参加者にも面白く。それが制作側の課題だろう。その点では他の様々なゲームと同じといえる。

 次回は3月に関西で行うようだ。スケジュールと場所の問題が解決すれば、もしかしたら参加するかもしれない。

 その次は5月に東京で行うらしい。こちらは場所の問題がないので、スケジュールさえなんとかなれば、是非参加したい。

 そして、(3月か5月かは不明だが)次に参加したときも、面白いと思えるようなゲームが用意されていることに期待したい。