安易な方法論

MORI LOG ACADEMY: 方法論などない

 方法論を説いた本は、確かにここ2,3年で一気に増えていると思います。流行り廃りが激しいのですが、たとえば脳の鍛え方であったり、掃除の仕方であったり、ダイエットの仕方であったり、様々なものがあります。2007年は掃除の方法論と勉強の方法論の本が多く出版されたように思います。

 まず知らないうちに成功していた人がいて、その人が、自分は何故成功したのか、と過去を振り返る。そうして生まれてくるものが方法論であり、その信憑性はといえば、その人が成功したというたった一例の立証である。それを信じて、同じ方法によって成功する人も現れるだろうし、その方法では成功しない人も沢山出るだろう。両者の割合は、全体の平均とどれほど違うものか。多少の違いがあったとしても、他者の方法論を参考にしようという積極性がある人は成功する確率が高い、というだけのことではないのか。
 僕が言いたいのは、方法論のほとんどは、「過去を振り返って気づいたこと」だという点である。基本的に、将来に目を向けた指針としては、根本的なスタンスが不適切だし、データ不足を感じる。

http://blog.mf-davinci.com/mori_log/archives/2007/12/post_1606.php

 誰にでも通用する確実な方法論は存在しない、という考え方ですが、これは正にそのとおりだと思います。人それぞれ、性格や生活習慣から向き不向きというものがあります。これを踏まえて書籍から楽に方法論を得たいならば、それぞれ違う著者の書籍を20冊程度購入し、全てを読んで試すことです。何割かの人はそのうちのどれか一つは適用できるでしょう。だいたい20冊読んで、適用できる方法論を見つけられなかった人は、おそらくどれだけ書籍を探しても、適用できる方法論を見つけられないでしょう。

 では、既存の書籍にある方法論が適用できない人はどうすれば良いのか。確実な方法は、自分で自分に合う方法論を見出すことです。もちろん、それができれば苦労はしない、という反論は想定の範囲内です。しかし、そういう人が探している書籍自体、何らかの形で自らの方法論を構築した人が書いているのです。それが出来ない人は、最近のこの手の書籍に多い台詞ですが、「諦める」しかないと思います。

 ちなみに、もう一つの方法として、関連する多くの書籍を読み、そこから普遍的な方法論を導き出す、というものもあります。この方法は一から考えなくて良い分楽な印象がありますが、実際にはこちらの方が難しいと思います。これができれば、それを本にするだけでベストセラーは確実ですし、他のメディアでも同じように大きな反響を得られるでしょう。成功者に仲間入りし、家族を養っていくには余りある収入を得られます。ならばもちろん、今までにたくさんの人が挑戦しているでしょう。にもかかわらず、未だに普遍的な方法論はどこにもないのです。つまり、新しい原理や公式を見つけるのと同様の難しさを持っているということです。

 結局のところ、安易さに頼っていては成長は見込めないということでしょうか。不断の精進が望まれるところです。もちろん、自分にも。