トップダウン型の目標達成法
そのうちまとめようとか、整理してから書こう、という考えでいると、いつまでも実行しないまま忘れられる。そういう経験をした人は少なくないでしょう。自分もそのような経験をいくつもしています。そういうわけで、まだまとめきれてないし、伝えたいことが定まったわけでもないけれど、以下の記事について、自分の思ったことをつらつらと書き留めておきます。
圧倒的に生産性の高い人(サイエンティスト)の研究スタイル - ニューロサイエンスとマーケティングの間 - Between Neuroscience and Marketing
トップダウン型のスタイル
この記事で述べられている「研究スタイル」は、トップダウン型に類すると考えられます。
- まずゴールを設定する
- ゴールに到達するために必要な、より小さく具体的なゴール(マイルストン)を設定する
- 曖昧さを十分に排し、実行可能なレベルまで具体化された小さなゴールを目指す
- 小さなゴールをいくつも経て、最終的に最初に決めたゴールに至る
最初にゴールありきのこの考え方は、確かに自分の知っている範囲の研究室では実践されていませんでした。自分の経験の中で、この手法をきわめて具体的に教えられたのはコンサルタントとしての研修のときです。しかし、だからといってこの手法がコンサルタントにとっては有用だけど、研究の世界では役に立たないというわけではありません。
無駄の多すぎる研究
トップダウン型の逆はボトムアップ型です。ボトムアップ型を実践している研究室は、少なからず見てきました。教員や学生が、興味のあることや最近流行りのものについて、考えたり実験したりしてデータを取得し、その中から使えそうなものを組み合わせて、研究結果としてまとめるというものです。
自分は、ボトムアップ型の研究スタイルは悪くはないと考えています。学生にとってはこちらの方がとっつきやすいと思いますし、大きな成果が出ないとも限りません。しかし、ボトムアップ型がトップダウン型に対して持っている大きな弱点があります。それは、実験などで得た一つひとつのデータをまとめづらいということです。
トップダウン型では、「仮説を立てる→データを採る→仮説を支えるか崩すか、あるいは影響しないかを判断する」という流れになります。対するボトムアップ型は、「データを採る→集めたデータを組み合わせて、何かテーマになりそうなものがないか考える」という流れになります。時間というコストで考えた場合、ネックになるのが「集めたデータを組み合わせて考える」作業です。これは結果がNGだったときにもったいないと思います。
簡単に言うと、「やってみた。ダメでした」ではダメなのです。「やってみた。ダメでした。なぜなら〜」と続かなければ、ほとんど意味がありません。先に仮説を立てることでこの「なぜなら」を得ることができます。
必ずしもトップダウンが良いわけではない
ここまで、トップダウンを推奨するような意見を述べてきましたが、常にトップダウンが良いわけではありません。ボトムアップは、集めたデータの質によっては、大きな可能性を秘めています。この手のものは、極論を言えば、「状況によって使い分ける」ことが大切です。と、言ってしまうと身もふたもありませんが。
あなたに何か目標があるのなら
とりあえず、せっかくですから試してみてはいかがでしょう。このスタイルを目標達成に生かすために、次のように置き換えてみます。
- まずイシューありき ⇒ 目標を設定する
- 何に白黒つけたら良いのか ⇒ 何を達成すれば目標に到達できるか
- サブサポートのレベル ⇒ 目標を達成するために必要な小さく具体的な目標(マイルストン)
- 仮説ドリブン ⇒ 一つひとつのマイルストンが、ある行動にたいして○か×かが得られるレベルにまで具体化する
- サポートとなるメッセージ ⇒ マイルストン
- 開けてみないとわからない ⇒ やってみないとわからない
- アプトプットドリブン
- 根源的な課題 ⇒ 最重要なマイルストン(これはしばしば最も難しいマイルストンと一致するように思います)
- 論点にケリを最速でつけていく ⇒ マイルストンに期限を設けて、それまでにできなければ、その方法は捨てる
- メッセージドリブン
- (目標を達成するだけなら、その目標をメッセージとするアウトプットは要りません)
以上を実際にやってみることで、何か感じるところが出てくると思います。たとえ失敗したとしても。