RubyKaigi 2010 に行ってきた

 8/27〜8/29 につくばで開催された RubyKaigi 2010 に行ってきました。

事の発端

 そもそも、 Rubyist を名乗るほど Ruby を使いこなしていない自分が何故 RubyKaigi に行ったか。

 つい最近のこと。会社の同僚の一人が Ruby に興味を持っていたことが始まりでした。

 彼は Ruby を勉強したいと言う。

 僕ももう2年ほど Ruby に触れていないけれど、いつ仕事で Ruby を使う時が来ても大丈夫なようにしておきたいという思惑があり、二人で Ruby を学ぶ時間を作りました。

 その頃、ちょうど RubyKaigi のチケットが販売されていました。例年であればもう売り切れている頃だったのですが、 Twitter で「まだチケット販売中です」という情報を得たので、彼に RubyKaigi を紹介しました。彼がとても乗り気だったこともあり、その場に居合わせた別の同僚と3人で RubyKaigi のチケットを購入することに。

RubyKaigi 2日目

 当然、仕事をしていれば金曜日は休暇でもとらない限り出勤しなければならないので、1日目は行ってません。2日目、3日目のみ行ってきました。

 場所がつくばと、少し遠いところだったため、同僚たちとの集合時間も早めに設定しておいたのですが、自分の予想通り自分自身が遅刻してしまいました。が、まあ9時30分開始の最初のセッションに間に合いました。見たもの全てを取り上げると長くなってしまうので、僕の関心にひっかかったものだけ記録します。

超絶技巧 Ruby プログラミング

 遠藤さん( id:ku-ma-me )による超絶技巧 Ruby プログラミング。何よりもインパクトがあったのが Quine の話。というか、あれで前半の内容が吹き飛んだ。遠藤さんのブログに発表予告の記事があって、その中で発表時に紹介された Quine の一つ、 山手 Quine の英語版について書かれています。 Quine っていうのは、そのプログラムを実行するとプログラム自身のソースコードだけを出力するプログラムのことで、先の山手 Quine は、実行すると次の駅を出力するソースコードを出力します。つまり、最初に実行したら『東京』と読めるソースコードが出力され、そのソースコードを実行すると、『有楽町』と読めるソースコードが出力されます。さらにすごかったのがエンディングのスタッフロール。これも Quine でしかも BGM 付き( BGM 込みで Quine だそうです)。僕が二日間で見た発表の中で最も hack な発表でした。

VimKaigi

 VimKaigi というか、タイムテーブルには Vim とだけ記載されている id:ka-nacht さんの発表。というか、 LT したり質疑応答したりしつつ、3時間30分という長い枠を全然使いきれず中盤でぐたぐだし、後半にはほとんど人がいなくなるセッションでしたが、終了30分前くらいまで居座って考え事をしたりしていました。前半の質疑応答などは自分にも興味のある内容について触れられていて、見にいった甲斐はありました。が、3時間30分ってどういうことなの……?

Lightning Talks

 昨今のカンファレンスにおける花形イベントの一つ。最初の ARToolKit の話や MessagePack の話など興味深いものがありましたが、一番印象に残っているのは Google Wave 本有名なあんどうさんのちょっと変わった Ruby を作る話。3種類紹介されましたが、なんといっても Fizzy-Ruby が良い。 if true sometimes とか確率で実行される if 文なんてネタとしてとても面白かった。あと、 Google Wave 本完売(@RubyKaigi 会場)おめでとうございます。

RubyKaigi 3日目

 またも寝坊。というか、朝早すぎです……。

Ruby 業務システムの広がりとホットスポット島根

 これは同僚に誘われてついていく形で聴講した発表だったけれど、とても良かった。島根県における起業の Ruby での開発支援の話や業務システムの開発に関する具体的な話、行政システムの再構築の話など、学生の頃の自分なら全く興味を持たなかっただろう話ばかりなのですが、就職して業務システムの開発などに関わっている自分にとっては食いつかざるを得ない内容でした。最後まで聞いて、職場で自分が所属しているプロジェクトは、有用な開発ツールの導入やテスト駆動開発の導入が遅れているなあ、と実感させられました。また、ベテランエンジニアと若手エンジニアの良いコラボレーションの手法の提案など、広い範囲が扱われた発表でしたので、聞いて良かったという思いが強く残っています。

There Is No Spoon -- Think Global, Act Regional

 日本 Ruby の会の角谷さんの発表。 RubyKaigi を始めたときの話や、日本の各地で行われた 地域 Ruby 会議の話から派生して、「やってみれば意外とできる。できない理由や不安な気持ちがあっても、やってみた方が良い」というメッセージを広く伝える内容でした。 RubyKaigi の歴史のようなものを感じさせられ、感動的な内容でした。「成果だけを追い求めてもできない。まずはできることから」。

基調講演

 『情熱プログラマー』という本を書かれた Chad Fowler さんの公演。『情熱プログラマー』に書かれている内容から入って、大切なものは何か、本当にやりたいことは何かを問いかけ、生きたい人生を今生きろ、というメッセージを伝える内容だった。そのためには言われたことだけをやっていてはいけないし、やりたいことをやる時間を作らなければならない。かといって、自分を追いつめてしまっては意味がない。詳細な内容は上記の書籍を読んでいただくのが良いですが、ブラックな働き方が多いイメージのあるソフトウェアエンジニアリングを仕事にしている人間としては考えさせられる内容でした。

RubyKaigi を終えて

 つくばは遠かった(特に2日連続で行くには)けれど、行って良かったと思いました。金額の分の元は取れたと思います(ノベルティのバッグもすごく良い出来だったし!)。僕が仕事で Ruby を使う日は遠くない未来に来るかもしれないし、来ないかもしれないけれど、 Ruby で開発できれば今よりももう少し仕事を楽しめそうです。

最後に

 運営の皆様、本当にお疲れ様でした!

発表の動画

 ここにあるようです。

rubykaigi1