フィボナッチ数の不思議2
前回紹介した性質1を証明しようと思います。しかし、性質1の形のまま証明する良い方法を思いつかなかったため、フィボナッチの基本的な性質からのアプローチを記します。
フィボナッチ数には以下の定義がありました。
この式には3つのフィボナッチ数があり、フィボナッチ数には上記の式が適用できます。したがって、以下の式変形が可能です。
この変形において、右辺のそれぞれの係数に注目してください。実はここにもフィボナッチ数列が隠れています。係数がフィボナッチ数列になることは、フィボナッチの性質を考えれば自明です。すなわち、以下のように表現できます。
ただし、
これをまとめると以下のようになります。
この式がフィボナッチ数の性質であることは、数学的帰納法で証明できます。
のとき上式は、 となり、これはフィボナッチ数の定義式と等しいため成立する。 のとき、 が成り立つとすると、 のとき、 したがって、のときも成立するので、 が証明された。
さて、最初に証明したかった性質は、以下のようなものでした。
先に証明した式を変形して、この式を導出しましょう。
において、をに置き換えると、 となる。この置き換えは、より条件を逸脱しない。 この式は、フィボナッチの様々な性質を証明する上でよく用いられる。 この式は、のとき、 となる。これが先に示したフィボナッチ数の性質1である。
以上、
- 性質1
- 連続する2フィボナッチ数の2乗和はフィボナッチ数
の証明でした。
長い上に、婉曲的な証明方法で、お世辞にもエレガントとはいえませんが、性質1が数学的に正しさを保っていることが証明できたので、今後この性質を自在に使用することが可能になります。