バージョン管理

 ディジタルなデータは、比較的簡単に上書きできます。そのため、バックアップが重要になります。同時に、複製も容易にできます。そのため、バージョン管理が重要になります。

 研究室の先輩方が残していかれたデータは、どれもバージョンが管理されておらず、どのデータが最新のもので、そのデータを得るために用いられた環境はどのようなものなのかがわかりませんでした。したがって、計算を行うプログラムの内容を解読して、論文に書かれたデータと一致する結果を出力するものを探さなければなりませんでした。

 一人で扱っていれば、どれが最新のものかを自分だけが把握していれば良いので、いい加減な管理でも大きな問題にはなりづらいでしょう。それに比べて、二人以上で扱い、複数の人間が書き換えられるデータの管理は大変です。自分が持っているデータを最新のものだと思い、そのデータを書き換えて更新してしまってから、他の人が更新した情報を上書きしてしまったことに気づく、ということも少なからずあります。

 バージョン管理において問題が発生する理由は2通りあります。1つは管理責任者がいない、あるいは機能していない場合です。たとえば誰でもデータの更新が出来る場合など、誰がいつデータを更新したのかが管理されていないため、バージョン管理がうまくいきません。管理責任者がしっかりしていれば、無闇に更新できないようにした上で、責任者による一元管理という形でうまく管理できます。もう1つはバージョンナンバリング等のシステムがしっかりしていない場合です。この場合、どのバージョンが最新であるかが、判断できなくなります。この手の問題であれば、バージョン管理ソフトを導入するのが最も早い解決方法です。最近のバージョン管理ソフトは優秀なので、導入することで他の部分のパフォーマンスが落ちることはないようです。

 まあ、そうはいっても、一番大切なのは関係者の意識の問題です。自分の後を引き継ぐ人に迷惑をかけないようにしたいものです。